FXの注文方法には「DD方式」と「NDD方式」の2種類の仕組みがあり、FX業者によって採用している方式が異なります。
NDD方式は、注文時にFX業者が介在しないため、透明性が高く、トレーダーが安心して取引できる方式といえます。
NDD方式は海外ではグローバルスタンダードとなっており、海外FX業者のほとんどがNDD方式を採用しています。また、国内FX業者はDD方式が主流ですが、最近ではNDD方式を採用して、透明性の高さや約定力の高さをアピールする業者も現れ始めています。
そこで今回は「NDD方式とは何か」について、初心者でも深く理解できるよう、以下の内容を分かりやすく解説していきます。
- ◎NDD方式とは、FX業者のディーラーを介さずに、市場で直接取引できる注文方式のこと
- ◎NDD方式には3つのメリットがある
・レートの透明性が高い
・約定率が高く、約定拒否はほとんど起こらない
・スキャルピングや自動売買を利用したトレードも可能になる - ◎NDD方式のデメリットは、スプレッドが広くなること
- ◎以下のようなトレーダーはNDD方式を選ぶべき!
・スキャルピングや自動売買を利用したトレードをしたい人
・約定力を重視してFX業者を選びたい人
・ハイレバレッジや追証なしゼロカットがある海外FX業者を選びたい人 - ◎NDD方式を採用している業者を一覧で紹介
この記事を最後まで読めば「NDD方式とは何か」が分かり、自分はNDD方式採用のFX業者を選ぶべきかどうかも判断できます。自分に最適なFX業者選びにぜひお役立てください。
目次
1. NDD方式とは
冒頭でも説明したとおり、FXの注文方法には「DD方式」と「NDD方式」があります。今回はこのうちの「NDD方式」について詳しく解説していきます。
「NDD方式」とは「ノン・ディーリングデスク(None Dealing Desk)」の略で、簡単に言うとFX業者のディーラーを介さずに、インターバンクと呼ばれるオンライン市場で直接取引する方式を指します。インターバンク直結方式ともいいます。
NDD方式のメリットは「透明性の高いこと」です。DD方式では注文ごとにFX会社のディーラーが間に入るため、ディーラーによりレート操作が行われる可能性を否定できません。しかしNDD方式は直接取引となるため、ディーラーの裁量が影響しない安心感があります。
NDDの他のメリットについては、「3. NDD方式の3つのメリット」の章でさらに詳しく解説します。
2. NDD方式とDD方式の違い
NDD方式について深く理解するために、もうひとつの方式であるDD方式との違いを見ていきましょう。両者の違いを比較表にまとめたのが以下です。
項目 | NDD方式 | DD方式 |
---|---|---|
FX業者のディーラーの介在 | なし | あり |
FX業者によるレート操作の可能性 | なし |
あり |
取引の透明性 | 高い |
低い |
スプレッド | 広い |
狭い |
FX業者の利益の源 | スプレッド (手数料) |
顧客の損失 呑み(ノミ)行為 |
採用しているFX業者 | 海外FX業者が多く採用している | 国内FX業者が多く採用している |
NDD方式とDD方式の一番大きな違いは、FX会社のディーラーが介在するかどうかです。
2-1. NDD方式はディーラーが介在しない
NDD方式では取引の際にFX会社のディーラーが介在しないため、レート操作されてしまう可能性がなく、取引の透明性が高い取引を行えます。その分、スプレッドは広めに設定されており、そのスプレッドがFX業者の利益となります。
海外ではNDD方式がグローバールスタンダードとなっており、海外FX業者のほどんどでNDD方式が採用されています。
2-2. DD方式はディーラーが注文を仲介する
一方DD方式は、顧客からの注文があると、FX業者のディーラー(Dealing Desk)がインターバンク市場との間に入って仲介を行います。FX業者は顧客からの注文を一旦呑んで完結させ、それとは別にインターバンクへ注文を出します。
つまり、顧客はインターバンク市場に注文を出しているつもりであっても、実際にはFX業者に注文を出していることになります。顧客が出した利益はFX業者の損失となり、顧客が出した損失はFX業者の利益となる、利益相反の関係と言えます。
顧客が105円で買ったものを100円で売ったことにより5円の損失を出した
➡FX業者は、105円で売り、100円で買っているため、5円の利益となる
FX初心者の9割は収支をプラスにできず、1年以内にFX市場を撤退すると言われています。そのマイナス分の多くがFX業者の利益になっているとも言えます。
国内FX業者の大半はDD方式を採用していますが、中にはNDD方式を採用している会社もあります。NDD方式を採用している会社については、「7. NDD方式を採用している業者一覧(国内・海外)」の章をご覧ください。
3. NDD方式の3つのメリット
NDD方式には3つの大きなメリットがあります。それぞれ詳しく解説していきます。
3-1. レートの透明性が高い
NDD方式の最大メリットは、FX業者のディーラーが間に入ることなく顧客の注文がインターバンク市場に流れるため、レートの透明性が高く、信頼できる点が挙げられます。
DD方式を採用しているFX業者では、トレーダーの注文をカバー先に流す場合もあれば流さない場合もあります。全てはFX業者の裁量によります。トレーダーの利益とFX業者の利益は相反となり、トレーダーが損すればFX業者が儲かり、トレーダーが利益を出せばFX業者の損失となります。
一方でNDD方式では、トレーダーが儲かっても損してもFX業者の利益は変わらず、FX業者はスプレッドから利益を得る仕組みとなっています。
トレーダーが損するほどFX業者が利益を得るDD方式とは逆に、NDD方式ではトレーダーが勝ち続けて多く取引してくれるほどFX業者が儲かる仕組みです。そのため、NDD方式の方が透明性の高い安心な取引を行っているといえるのです。
3-2. 約定率が高い(約定拒否がほとんどない)
先ほどから解説している通り、DD方式ではトレーダーの損失がFX業者の利益となります。そのため、DD方式を採用しているFX業者は、約定拒否を行ってトレーダーの利益を減少させたり、損失を増やしたりすることが業者の利益につながります。そのような意図的な約定拒否が行われているかどうかは明らかになっていませんが、その可能性がゼロとも言えないのがDD方式の現状です。
事実として、NDD方式が多い海外FX業者とDD方式が多い国内FX業者を比べると、約定率は海外FX業者の方が圧倒的に高く、約定拒否も海外FX業者ではほとんどありません。
国内FX業者の約定力 | = | ・約定率は高くても80%程度 ・約定拒否率7~9%程度 ・スリッページ率18%~20%程度 |
---|---|---|
海外FX業者の約定力 | = |
・約定率が99.7~99.9%など高い ・約定拒否はほとんどない ・執行スピードも1秒未満など早い |
海外FX業者の約定力についてもっと詳しく知りたい方は、「海外FXで約定力が重要な理由と約定力ランキングTOP5を紹介」の記事もぜひご覧ください。
3-3. スキャルピングや自動売買が禁止されていない
NDD方式を採用しているFX業者を選ぶメリットとして、スキャルピングOK・自動売買もOKなど、取引条件に制限が少ないことも挙げられます。
※スキャルピングとは、数秒や数分など短い時間の間に、何度も売買を繰り返して利益を積み重ねるタイプのトレード手法のことです。
DD方式では一度FX業者がトレーダーの注文を市場に流すか決めているため、スキャルピングのように短時間で何度も取引されてしまうと、FX業者の判断が間に合わなくなるのです。そのため、スキャルピングや自動売買などが禁止されていることがほとんどです。
しかしNDD方式では直接取引を市場に流すため、スキャルピングや自動売買を禁止する必要はありません。むしろたくさんトレードしてもらうことがNDD方式のFX業者の利益になるため、少しでも良い条件でトレードしてもらおうと取引環境に注力している優良業者が多いといえます。
4. NDD方式のデメリットは1つ
ここからは逆に、NDD方式のデメリットについても解説していきます。
ズバリ、NDD方式のデメリットは「スプレッドが広くなってしまう」という点にあります。
米ドル円のスプレッド | |
---|---|
DD方式の国内FX業者 | 0.1銭〜0.2銭程度 |
NDD方式の国内FX業者 | 0.3銭~0.4銭程度 |
NDD方式の海外FX業者 | 0.3pips〜2.0pips程度 |
先ほどから説明している通り、トレーダーの損失がFX業者の利益となるDD方式と違い、NDD方式の場合はトレーダーが儲かっても損してもFX業者の利益は変わりません。NDD方式を採用しているFX業者の利益は、取引ごとにトレーダーが負担するスプレッドのみなのです。
そのため、NDD方式のスプレッドがDD方式よりも広くなってしまうのは、ある意味仕方がないことなのです。
5. DD方式とNDD方式どちらが良いのか
ここまで「NDD方式とは何か」「DD方式と何が違うのか」について解説してきましたが、ここからは「実際どちらの方式のFX業者を選べばいいの?」という疑問にお答えしていきます。
答えから言ってしまうと、DD方式とNDD方式にはそれぞれ一長一短があり、一概に「こちらの方が絶対に良い!」という結論は出せません。トレーダーの方針や考え方、トレードスタイルによって、どちらが向いているかが決まってきます。
次の6章では「NDD方式を選ぶべきトレーダーの特徴」を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
6. NDD方式を選ぶべきトレーダーはこんな人
NDD方式のFX業者を選ぶべきトレーダーの特徴を解説していきます。
6-1. スキャルピングや自動売買がしたい人
スキャルピング(超短期取引)や自動売買ツールを使ったトレードをしたい方は、DD方式では禁止されているため、禁止されていないNDD方式を選ぶべきです。
海外FX業者はスキャルピングOK・自動売買OKというブローカーがほとんどです。一方、国内FX業者でも最近ではスキャルピングを公認しているブローカーも増えつつあります。
6-2. 約定力を重視したい人
約定力とは、「約定率の高さ(どのくらいの割合で約定するか)」や「約定スピードの速さ(何秒で約定できるか)」、「スリッページの無さ(注文したレートと実際に約定するときにレートの差が無いこと)」を指します。
FX取引で多くの利益を出しているトレーダーほど、約定力の高さを重視してFX業者を選んでいます。約定力が低ければ、利益を出せるタイミングを逃してしまったり、意図したレートで約定できなかったりして、利益が減少したり損失が拡大したりする原因となるからです。
FX初心者はスプレッドや手数料の安さだけを見てしまいがちですが、希望したレートで約定できる業者を選びたい方は、NDD方式のFX業者を選ぶのがおすすめです。
6-3. 透明性の高いFX業者を利用したい人
DD方式ではインターバンクへの注文の手綱はFX業者がコントロールしているため、自分が注文した内容がどうなっているか不透明というデメリットがあります。
「透明性の高い取引がしたい」「信頼できるFX会社で取引したい」と思う方は、ディーラーが介在しないNDD方式がおすすめです。
6-4. 海外FX業者を利用したい人
国内FX業者ではまだまだDD方式が主流ですが、海外ではNDD方式がグローバルスタンダードとなっています。
海外FX業者は各社、取引条件を良くしてトレーダーに選ばれるブローカーになるべく日々努力を重ねています。そのため、400倍や1000倍などのハイレバレッジ取引や、借金を負うことがない追従なしゼロカットシステム、99%以上の約定率など、国内FX業者には無い魅力がたくさんあります。
このようなメリットを享受したい方は、NDD方式を採用している海外FX業者を選ぶのがおすすめです。
➡どの海外FX業者を選べばいいか迷うという方は、「おすすめ海外FX業者の比較ランキングTOP10!目的別にベストな業者が選べる」の記事をご覧ください。
7. NDD方式を採用している業者一覧(国内・海外)
ここまで読んで「NDD方式のFX業者で取引を始めたい!」と感じた方に向けて、NDD方式を採用している業者を、国内FX業者・海外FX業者ごとに一覧表にまとめました。ぜひFX業者選びにお役立てください。
7-1. NDD方式を採用している国内FX業者
FX業者 | 特徴 | リンク |
---|---|---|
ヒロセ通商 | ・NDD業者とは思えないほどの狭いスプレッドを実現 ・世界各国23行もの金融機関と提携し、ベストなBID/ASKを実現 |
公式サイト |
OANDA Japan | ・「公平・公正な取引環境を提供する」がモットー ・約定拒否なしのシステムで、約定スピードにもこだわりあり |
公式サイト |
外為ファイネスト | ・NDD方式の中でもSTPを採用 ・変動制ながらも全体的に狭いスプレッドを実現している |
公式サイト |
アヴァトレード・ジャパン | ・MT5のライブ取引に対応し、指標発表時でもスプレッドが広がりにくい | 公式サイト |
FOREX EXCHANGE | ・30種類以上のEA(自動売買ツール)から自由に選択して利用可能 ・自動売買に挑戦してみたい方に最適 |
公式サイト |
EZインベスト証券 | ・安定した約定スピードと約定力を提供している ・MT4で日経225や米国ナスダック指数などCFDを直接売買できる |
公式サイト |
サクソバンク証券 | ・高機能で使いやすいツール「Saxo TraderGo」が人気 ・6,000種類以上のCFD銘柄に対応 |
公式サイト |
インヴァスト証券 | ・100万通貨まではDD方式、100万通貨を越える場合はNDD方式となる | 公式サイト |
なお、初心者には国内FX業者もおすすめですが、レバレッジが最大でも25倍までしか選べないこと、ゼロカットシステムが無いため借金を負う可能性があることなどから、海外FX業者もおすすめします。
7-2. NDD方式を採用している海外FX業者
海外FX業者のほとんどはNDD方式を採用しています。そのため、全ては紹介できないため、NDD方式の海外FX業者の中でも当サイトがおすすめするブローカー一覧を紹介します。
FX業者 | 特徴 | リンク |
---|---|---|
XM(XMTrading) | ・日本人からの信頼がトップクラスの海外FX業者 ・スプレッドはやや高めだが、安心して使える ・ボーナスキャンペーンやXMポイントで証拠金が増える |
公式サイト |
AXIORY(アキシオリー) | ・信託保全を導入しており、安全性が高い ・海外FX業者の中でもスプレッドが狭く約定力も高い |
公式サイト |
Tradeview(トレードビュー) | ・2004年に設立された老舗海外FXブローカー ・海外FX業者の中でスプレッドがトップクラスに狭い |
公式サイト |
FBS | ・通常口座のレバレッジが最大3,000倍と高い ・ボーナスキャンペーンが豊富 |
公式サイト |
TitanFX(タイタンFX) | ・取引コストの低さと約定力の高さに定評がある ・「ブレード口座」はスキャルピングにおすすめ |
公式サイト |
HotFore(ホットフォレックス) | ・最大1,000倍のハイレバレッジ取引が可能 ・ロスカット水準が10%と低めでロスカットされにくい |
公式サイト |
なお、以下の海外FX業者はDD方式を採用している可能性があるブローカーです(公式にはNDD方式としていても、DD方式の可能性が高いブローカーを含みます)。
実際に海外FX業者を選ぶ際には、NDD方式かDD方式かだけでなく、安全性の高さやボーナスキャンペーンの魅力度など、さまざまな特徴を考慮して総合的に判断することをおすすめします。
以下のページで、おすすめの海外FX業者を目的別に詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめ海外FX業者の比較ランキンTOP10!目的別にベストな業者が選べる
まとめ
この記事では、NDD方式についてさまざまな情報をお届けしてきました。
- そもそもNDD方式とは何か?
- DD方式と何が違うのか?
- NDD方式のメリット(NDD方式だと何が良いのか?)
- 結局、NDD方式とDD方式はどちらがいいのか?
- NDD方式を選ぶべきトレーダーはどんな人か?
- NDD方式を採用しているFX業者はどこか?
NDD方式は「透明性が高く、トレーダーが安心して取引できる仕組み」だということが理解できたのではないしょうか。
この記事をきっかけに、自分に合ったFX業者を見つけてみてください。
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